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アート ハミングバード

花のまわりを飛ぶハミングバードのように、アートのまわりを飛び回ります。

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小さなものに寄せる想いと時間―福岡道雄:ヨコハマトリエンナーレ2014 ④

 ●福岡 CIMG2117
「第4話 たった独りで世界と格闘する重労働」にいある福岡道雄作品6点
右の壁にもう1点カンヴァス、手前に立体作品


5点の黒いカンヴァス
黒い画面に白くて細かい模様が描かれています。写真に撮るとモアレが起きます。近づいて見ると、5ミリほどの文字が横一列、少し上に行ったり下にいったりくねくねと曲がって書いてあります。同じような作品が5点並んでいます。
入口に一番近い、《Nothing to do》はタイトルと同じ英文を繰り返しています。

ニワセキショウ、スミレ、ツユクサ

右から2番め、《何もしたくない草花》には「何もしたくない」という言葉を繰り返しています。庭の隅に生えている10センチにも満たないニワセキショウ、スミレ、ツユクサが描かれ、草花の近くには「何もしたくない」とは違う言葉がありました。
●福岡2 CIMG2393 - コピー 
スミレ付近を拡大、福岡道雄 《何もしたくない草花》1999年

「スミレなどはどこから飛んできたのかわからないが、……春になると一面が紫色になる」
「雑草の方では又あの小男が北と怒れているかも知れない」などを見つけると、右から3番めの、《僕達は本当に怯えなくてもいいのでしょうか 11月(ハザードマップ)》は、「あの小男」に引き抜かれるのではないかと怯えているスミレのつぶやきのようです。この作品にはスミレの花の押し花があり、そこが安全地帯であり、全体がスミレの避難場所を示す「ハザードマップ」なのです。

【修正】最終日の11月3日に友人から、ところどころにある黒い部分はスミレの押し花ではなく、原発のマークだと聞きました。黒い部分は避難場所ではありませんでした。原発だとすると「僕達は本当に怯えなくてもいいのでしょうか」がまったく違う意味になります。原発に対して怯えなくてもよいのか、と反語になっています。まずは怯えることが始まりなのです。

●福岡3 CIMG2113 (2000x1737) 
福岡道雄 《僕達は本当に怯えなくてもいいのでしょうか 11月(ハザードマップ)》 1999年
ところどころにある空白はスミレの花の押し花ではなく、原発のマーク <
ミミズたち
5番めの《何もすることがない 10月(みみず)》にもタイトルとは違う言葉がいくつかありました。
  ●福岡4 CIMG2402  ●福岡 CIMG2407
福岡道雄 《何もすることがない 10月(みみず)》1999年 左:全体 右:部分

「何もしたくない」「何もすることがない」を繰り返すならば、何もしなくてよいのに、なぜ、文字を彫って残すのでしょう。
小さな草花や小さなミミズに心を寄せるのでしょうか。
「何もしたくない」と刻むのは、写経にも、修行にも、苦行にも、似ています。一心に手を動かすことで現実から逃れているのでしょうか。文字を刻んでいる時間が、この作品の後ろに隠れています。
5点のそれぞれ右下には制作年と作家名がありました。

埋めつくされた時間
言葉で埋めつくした作品が、書いたのではなく、電動ドリルで彫ったものと知り、その労力と時間に驚きました。彫刻家・福岡道雄は、平面でも彫るのです。5点すべてが1999年制作です。
2001年にINAXギャラリー2で開催された展覧会「福岡道雄 展―何もすることがない」の説明を見つけ、ここには約40年の月日があったことがわりました。阪神淡路大震災は1995年1月7日でした。

「福岡さんが最初にこの[何もすることがない]ということばを使ったのは1961年に作品の素材の廃材を探しまわっていたときで、[何かしなくてはいけないが、することがない]という焦燥と空虚の入り混じった 思いからだったと言います。そして、阪神淡路大震災。40年近い歳月を経て、福岡さんの心に再び甦ってきたのはこのことばでした。」
福岡道雄 展―何もすることがない ―  INAXギャラリー2 2001年6月1日~27日http://inax.lixil.co.jp/Culture/gallery2/2001/06fukuoka.html

この5点の作品の前には、《飛ばねばよかった》があり、ここでも33年間の時間も考えることができました。手首だけが綱を握っているところが、エイリアンに食べられてしまった人ではないかと、恐ろしい空想を広げました。そして、2005年、福岡道雄は彫刻家をやめました。

●福岡5 CIMG2084 
壁に並んだ黒いカンヴァス、手前のまるいものと人体は、福岡道雄 《飛ばねばよかった》1966年

【ヨコハマトリエンナーレ2014】 2014年8月1日~11月3日 横浜美術館、新港ピア
http://www.yokohamatriennale.jp/2014/

福岡道雄 1936年 日本生まれ
http://www.yokohamatriennale.jp/archive/2014/artist/f/artist410/

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*Comment

福岡道雄作品 

大阪国際美術館は天井が高く、広々していますね。1度行きました。福岡道雄さんの大きな作品、おおまかに3メートル×2メートルくらい、大迫力ですね。
電気ドリルで彫った文字ですが、修行のように感じました。ヨコトリでは友達とあれこれ言いながらじっくり見ました。
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  • 2015.01/14 01:19分 
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