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アート ハミングバード

花のまわりを飛ぶハミングバードのように、アートのまわりを飛び回ります。

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クリムトの大作来日、上野の東京都美術館「クリムト展 ウィーンと日本 1900」

2019 クリムト IMG_0379 2m
グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》1901年 ウィーン、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
グスタフ・クリムト《女の三世代》1905年 ローマ国立近代美術館


今年2019年は日本とオーストリア友好150周年、19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)の没後100年を記念する展覧会が開かれています。代表作はチラシに載っている《ユディトⅠ》《女の三世代》、金をあしらい、繊細な模様、官能的な女性像など、日本では過去最多25点以上のクリムトの油彩画を含む120点余を展示しています。

●少女の横顔
今回は東京都美術館の展示から、二人の少女の肖像画と1点の風景画、34メートルの壁画を紹介します。
作品画像がないので、展覧会のホームページ、Webでの検索をご利用ください。

最初のフロアー(ロビー階・地階)では、家族の肖像や写真、美術工芸学校での課題作、卒業後に弟と友人の3人で芸術家商会を設立て描いた天井画の下絵や習作など。古典的な画題を緻密に伝統的に描き、よく知られているクリムトのイメージはありません。

この階では、クリムトが6歳の姪を描いた白いブラウス姿の半身像《へレーネ・クリムトの肖像》が秀逸です。後ろ髪は顎で切り揃え、眉の上にまっすぐにそろえた前髪から正面を見据えた少女の横顔が大人びて見えました。

クリムトの生涯友人・恋人(?)でもあったエミーリア・フレーゲと交わした手紙、二人の写真(1899年、ベルヴェデーレ宮)も展示されています。そのそばに《17歳のエミーリア・フレーゲの肖像》(1891年、個人蔵)のパステル画は、少し斜め向き、やはり白いブラウスの上半身です。額にも日本風な植物が書き込まれています。成人したフレーゲの姿は国立新美術館「ウィーン モダン展」に展示されています。

1階では、正方形の《アッター湖畔のカンマー城III》(1909/1910年 ベルヴェデーレ宮)が素敵でした。芸術家が好んだ夏の滞在地の建物を画面いっぱいに描き、下部3分の1に湖に映る建物が揺らいでいます。小さな筆致でさまざまな色を並べている部分は新印象派のようでもあります。きらきらした光が全面に当たっているようです。

●長さ34m、幅2mの大作
2019 クリムト IMG_0382 22m 
《ベートーヴェン・フリーズ》をモチーフにした雑誌の付録
上部の便箋・封筒は『和楽』2019年  付録   
中央のファイルは『おとなのOFF』2019年1月号付録

展示されたのは、グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-1902年、216×3438cm)ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館


圧巻なのは、1階の奥に展示された《ベートーヴェン・フリーズ》長さ34mの原寸大複製画が部屋の壁上半分をぐるりと占めています。幸福を求める騎士が戦って楽園に着くまでを描いています。金箔や貝殻の真珠母貝、ガラス、貴石などさまざまな素材も使われています。原画はートーヴェンを称える1902年の「第14回分離派展」で展示したものです。分離派会館の模型を覗くとベートーヴェンの像が見えます。壁にそって作品を見ていると、天井からはベートーヴェンの交響曲第九が流れてきました。

雑誌の付録もこの作品でした。使うのがもったいない便箋セットとファイルです。

【クリムト展 ウィーンと日本 1900】 https://klimt2019.jp/
東京都美術館 2019年4月23日(火)〜 7月10日(水)
豊田市美術館 2019年7月23日(火)〜 10月14日(月・祝)
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穏やかな光を描いた水辺の画家ドービニー  

201906I ドービニー展 MG_0112

シャルル=フランソワ・ドービニー(181778年)の作品を60点もまとめて見たのは初めて。家に飾ってみたい素敵な作品がたくさんありました。


201906 ドービニー展 IMG_0386  copy

アカデミックな絵を描いてサロンに出品、ローマ賞を目指すも2回落選。方向転換をして挿し絵を描きながら、風景画を描き続け、やがてサロンの審査員になり、印象派を評価しました。

ドービニーはバルビゾン派のひとりで、筆跡が残る描き方もあって印象派の先駆者とも呼ばれています。


201906 ドービニー展 IMG_0389

左:ドービニー《ボッタン号》1869年 フランス、個人蔵

右:ドービニー『船の旅』扉絵 1867年 個人蔵

 

1857年、船にアトリエを積んだアトリエ船に乗って水辺を描き、船からではないととらえられない風景や水の近くで過ごした感覚が作品から感じられます。クロード・モネ(18401926年)はドービニーを真似てアトリエ船に乗り、水辺を描いています。

ドービニーが息子とアトリエ船に乗った旅を家族向けに作った版画集『船の旅』にはユーモアとあたたかさがあふれています。

 

この展覧会には初期から晩年までの60点、関連作品20点が展示されています。この展覧会のドービニーの風景には、その時代を象徴するような鉄道、工場、煙突がほとんど描かれず、村や街にくらす人々が風景に溶け込んで描かれています。

 

201906I ドービニー展 MG_0111 copy

ゴッホ《ひまわり》1888年 同美術館所蔵、常設展示(写真は撮影スポットにある複製品)

フランス・アルルでゴーギャンを待ちながら描いた作品

 

ドービニーが暮らしたのはパリ郊外のオーヴェール=シュル=オワーズ、食堂や子ども部屋には童話の場面が直接描かれています。現在は、見学ができる施設になっています。ドービニーの死後、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853-1890)がここを訪ねて庭を描いたことも有名です。ゴッホと弟テオの墓、ゴッホが描いたノートルダム教会も近くにあります。

 

また、西洋美術館の松方コレクション展(2019611日~923日)の3章に展示された《ヴィレールヴィルの海岸、日没》(1870年 株式会社三井住友銀行蔵、東京)は縦1メートル、横2メートルの大作です。漁村の夕暮れの風景を是非ごらんください。

 

【シャルル=フランソワ・ドービニー展 バルビゾン派から印象派への架け橋】

2019420日(土)~630日(日)

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

https://www.sjnk-museum.org/program/past/5750.html

 

【パリ郊外のオーヴェール=シュル=オワーズ】

ドービニーの自宅兼アトリエ (Maison-Atelier Daubigny

1861年、ドービニーの自宅兼アトリエとして建てられた邸宅。室内、アトリエ、庭園まで見学できます。

http://www.atelier-daubigny.com

 

ドービニー美術館(コロンビエール邸)(Musée Daubigny – Manoir des Colombières

1階が観光案内所、2階がドービニー美術館。美術館ではドービニー、息子カール、オーヴェル地域で活動した画家の作品も。

http://www.musee-daubigny.com


ル・コルビジュエ設計の建物でル・コルビジュエ制作の絵画を観る(2) 西洋美術館開館60周年記念「ル・コルビジュエ」展 

●優しいパステルカラー
19世紀ホールからスロープを上ると2階が吹き抜けを囲む展示室です。ル・コルビュジエが設計した建物で彼の絵画作品を見ることができるのです。いつもの本館は14~18世紀のヨーロッパ絵画を展示していて重々しい雰囲気もあるのですが、今回は絵画のなかのパステルカラーが目について、爽やかな雰囲気になりました。ところどころに壁を立てて、100点近くある作品を展示しています。
展示は、4つの章にわかれています。「Ⅰ ピュリスムの誕生」「Ⅱ キュビスムとの対話」「Ⅲ ピュリスムの頂点と終幕」「Ⅳ ピュリスム以降のル・コルビジュエ」。撮影ができないので、「Ⅱ キュビスムとの対話」から絵はがきで紹介します。

●ピュリスムを宣言してキュビスムを批判
1918年末のパリで、ル・コルビュジエは画家アメデ・オザンファン(1886~1966年)とピュリスムを宣言し、キュビスムを批判しました。ル・コルビュジエはオザンファンと詩人ポール・デルメの3人で作った雑誌「エスプリ・ヌーヴォー」を1920年から25年まで発行し、その全冊が2階の入口に展示されていました。「ル・コルビジュエ」の名前はこの雑誌で使ったペンネームで本名はシャルル・エドゥアール・ジャンヌレです。

●2019 コルビジュエ展 pikaso IMG_9986 copy
左:ジョルジュ・ブラック《食卓》 1920年 ウィーン、アルベルティーナ美術館》 1920年 ウィーン、アルベルティーナ美術館 
右:パブロ・ピカソ《魚、コンポート皿(小さなキッチン)》1922年 群馬県立近代美術館

キュビスムとは、20世紀初めにピカソ(1881~1973年)とブラック(1882~1963年)が始めた革新的な美術表現と思考の試みで、上下左右など違った幾つもの視点から見た形を平面上に再構成して表現するもの。ピカソとブラックの作品は並んで展示され、テーブルの上に果物や魚がのっている構図も似ています。

ル コルビジュエ、オザンファン
左:ル・コルビジュエ《多数のオブジェのある静物》 1923年 パリ、ル・コルビジュエ財団
右:アメデ・オザンファン《和音》 1922年 ホノルル美術館 (C)ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2019 B0396

ピュリスムの芸術は身近な物の純粋な形を見つけて普遍的な芸術を創造することだといいます。ピュリスム絵画の頂点といわれる2人の作品が並んで展示されていました。彩度が似ていて、静かでやさしい雰囲気があります。
オザンファン《和音》はギターと瓶を真横からとらえて形の重なりを楽しんでいるようです。額縁は1センチ幅の階段状で見る方向によって影が違い、雰囲気も違って見えます。
ル・コルビジュエ《多数のオブジェのある静物》 は、外の大きな看板にも使われています。上から見たり、横から見たり、半立体の表現があったり、テーブルの上に細々としたさまざまな器がひしめきあっているようです。横線がつながるイメージが落ち着きを感じさせます。

●お土産はトレードマーク
●20190608 ル コルビジュエ展 IMG_9988

ル・コルビジュエには午前中は絵を描き、午後は設計をしたと言われ、絵画はル・コルビジュエの設計につながっていると納得できました。ミュージアムショップでは、ル・コルビジュエのトレードマークである眼鏡をモチーフにしたブローチがありました。ル・コルビュジエは外に出るときに必ず丸メガネに蝶ネクタイをしてパイプを持っていたのです。

日本では過去2回、ル・コルビジュエの絵画に注目した展覧会がありました。自分が設計した美術館に自分の絵画が展示されることになるとは、ル・コルビジュエは考えてもいなかったでしょう。

【出品作家】シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)/アメデ・オザンファン/パブロ・ピカソ/ジョルジュ・ブラック/フェルナン・レジェ/フアン・グリス/アンリ・ローランス/ジャック・リプシッツ

■開館60周年記念「ル・コルビジュエ 絵画から建築へ—ピュリスムの時代」
2019年2月19日(火)~2019年5月19日(日) https://lecorbusier2019.jp/  国立西洋美術館 https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html



ル・コルビジュエ設計の建物でル・コルビジュエ絵画を観る(1) 西洋美術館開館60周年記念「ル・コルビジュエ」展 

● IMG_8154

国立西洋美術館は2019年6月に開館60年になります。開館60周年を記念して「ル・コルビジュエ 絵画から建築へ—ピュリスムの時代」展が開かれました。20世紀建築の巨匠であるル・コルビュジエ(1887-1965)が設計した建物は日本ではこの西洋美術館の本館だけです。また本館は2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

この展示では、1917年、29歳のル・コルビジュエが故郷スイスからパリに出て、「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した10年を、絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど多方面から紹介するものです。いつもは、本館・新館で常設展を企画展示室で企画展を行っていますが、今回はル・コルビジュエが設計した本館でル・コルビジュエが制作した絵画作品などを鑑賞できる特別なものです。

●19世紀ホールには建築模型
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西洋美術館には三つの建物があります。1959年に(本館)開館、1979年に本館の後方に「新館」が竣工、1997年には前庭の地下に企画展示室が竣工しました。
本館の入口、「19世紀ホール」は吹き抜けで中央から見上げると三角の明かり取りから光が射していることに気が付きます。バルコニーと呼ばれる小さな部屋が壁から張り出し、また壁の一部がなくて吹き抜けから少し見える小部屋が、ホールを開放的な空間にしています。
企画展では撮影禁止ですが、今回はこの19世紀ホールのみ撮影ができました。

●暮らしてみたい集合住宅
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建物の模型が展示され、来館者の方々はとても熱心に作品を見ています。壁の上方には建物内部に入っていく場面の動画が映り、立ち止まって見ている人もいます。
写真左下の模型は、都市デザインの一部となる共同住宅で、広い中庭が印象的です。

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イム―ブル=ヴィラ(ヴィラ型共同住宅 1/100模型 1988年 広島市現代美術館)

イム―ブル=ヴィラには小さな人物たちが暮らしています。バルコニーに帽子を被り、長いスカートの女性とシルクハットにステッキを手にした紳士が立っています。思わずカメラを向けたくなります。

●柱で床を支えるドミノ・システム
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《メゾン・ドミノ》 (1/30模型 2005年サレジオ工業高等専門学校比留間真研究室製作)

《メゾン・ドミノ》 は、第一次大戦後の復興計画のために考案した集合住宅の構法システム。石積みの壁で建物を支えるのではなく、柱が床を支えて、階段で床をつなぐ構造の「ドミノ・システム」を考案したものです。 内壁(間仕切り)がなくても建物が壊れないので、壁を移動したり、取り外したりできる設計です。
このような集合住宅がドミノが順々に倒れるように、次々につながって建設する考え方で、工場で部品を大量生産する発想もありました。
本館はまさに、ドミノ・システムです。19世紀ホールには大きな柱が2本あり、2階の展示室にも柱が何本もあります。建築の構造と世界遺産を説明するパンフレットを手にして館内を歩いて見ると、ル・コルビジュエの考えが伝わってきます。

■開館60周年記念「ル・コルビジュエ 絵画から建築へ—ピュリスムの時代」
2019年2月19日(火)~2019年5月19日(日) https://lecorbusier2019.jp/  
国立西洋美術館 https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html




フィリップ・コレクション展

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三菱一号館美術館で巨匠の作品を集めた展覧会が開かれています。
ピカソ、ゴッホ、モネ、マティス、ロダン、ゴヤ、ドガ、セザンヌ、スーラの名前がクイズのように並ぶのは、チラシとチケットです。名前を見ただけで期待が高まりました。

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会場には、作品が8点並ぶアートカードも用意されていました。1枚ずつ切り離してカード遊びをしたり、裏には見どころを読んだり楽しそうです。

「フィリップ・コレクション」はアメリカの実業家ダンカン・フィリップ(1886~1966年)が美術作品を集めた美術館で2018年は創立100周年。展覧会ではこのコレクションから75点が展示されています。

学芸員の講演会に参加してみると、会場は満席。セザンヌがモネに送った静物画が素晴らし過ぎて、モネが自作を破こうし、妻アリスが静物画を隠したことなど、興味深いエピソードを聞きました。
また、この展覧会では作品を購入した順番に展示しているのが世界初の試みだそうです。
アートファンとしては同じ作家の作品を並べて見たいと思いました。ジョルジュ・ブラック7点とピエール・ボナール4点と作品数が多く感じました。ボナールは国立新美術館で「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」(油彩72点を含み全130点、2018年9月26日~ 12月17日)もあって、たくさんのボナールに会えた時でした。

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モネ作品では西洋美術館所蔵作品との関連も伺いました。
左:モネ《ヴェトゥイユへの道》(1879年)と右:西洋美術館所蔵の《ラロシュ=ギュイヨンの道》(1880年)は「ラロシュ=ギュイヨン」の同じ場所に立って描いたもの。今回の展示はヴェトゥイユに向かって描き、西洋美術館の作品はヴェトゥイユからラロシュ=ギュイヨンに向かって描いたそうです。2つの場所は車で10分ほど(Web調べ)だそうです。季節は木が枯れた秋のようでもあり、明るい日射しと長い木の影が印象的な作品です。
モネはヴェトゥイユに1878年から4年年間暮らし、79年には妻カミーユが亡くなったところです。

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毎回楽しみにしているのが「撮影スポット」今回はピエール・ボナール《開かれた窓》(1921年)のレプリカなどがありました。作品と本物の窓を撮ってみました。レンガの壁が映えます。

フィリップ・コレクション展
三菱一号館美術館 2018年10月17日(水)〜2019年2月11日(月・祝)


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art hummingbird

Author:art hummingbird
アート、本、映画を中心に
見たこと、感じたことを伝えていきます。

ハミングバードは蜂鳥のこと、
体長は約6センチ、
蜂のように羽を動かして、
空中に留まることもっできます。

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